※ストリートビューで見られるので興味があればそちらで。

JR大高駅から大高の旧市街地を氷上姉子神社のほう(南西)へと進むと、平野池という池がある。そこからひと山越えたところが目的の土地。名古屋市緑区大高町東古根、および東海市名和町上大廻間である。

氷上風致地区の看板。この境界部分の「大廻間住宅」へと向かう。名古屋市側は風致地区および都市計画公園に指定されていて、新規の建築は難しいようだ。

坂を下るとこのような町並みが広がる。突き当りの左はやがて山にぶつかるため、よそ者は右に抜けるしかない。

見えてきた。

大廻間住宅の名古屋市側。真ん中のは蓋がけの水路。これぞ、という長屋の住宅だ。ここに来たかったのだ。

建築が規制されているためか、素人的な補修がとにかく目立つ。名古屋に長屋多しと言えど、この町並みは貴重である。また、失われている箇所が多いものの、石の門柱らしきものが複数確認できた。これも珍しい。

明るい色合いがアジア的な町並みにも見える。

ちなみに名古屋の住宅は元々トタン率が高く、長屋や町家を切断したところはだいたいトタン壁で埋めている。

北側の道に出たので、地形を確認。谷になっているのがわかる(背後はかなりの坂)。戦前は谷戸にひらけたわずかな耕地だったようだ。

幹線的な水路はなく、住宅の間に細いものが2本あり、そこに先ほどの道路中央のものや排水溝などが合わさっている。

排水の一部は今も垂れ流しのようだ。水路上に洗濯スペースがある。

東海市側は幾分外観が統一されている感じがする。

道路標識を真似たような自作の看板が謎を呼ぶ。

最初に降りてきた坂の近くから、裏手に入ることもできる。これは名古屋市側の家並み。住んでいないと思しき家屋はかなり荒れている。

水路。ブロック的な造りではなく、昭和期に作られたドブ、という感じ。

こちらは大廻間池に近い側。全体に黒塗りっぽいトタン。居住率はこちらのほうが高いが、道が行き止まりになっているため入らなかった。奥に小さなお社があるようだった。

右の空き地部分にもかつては長屋が建っていたようだ。

住宅のやや北西に大廻間池がある。古い地形図で確認すると、長屋がなかった頃はそのあたりまで水域があった模様。なかなか風光明媚というか、高低差がありのんびりとした池だ。一部は公園の造成をしているようである。もっともこうした池は名古屋市東部には多い。

西側には住宅の見取り図(東海市側のみ?)もあり、名前が出ている。
住宅が市境界にあるところを見ると、公営ではなさそうだ。ただ昔の昭文社のニューエスト赤版愛知県地図には住宅名が載っている。どのような経緯でできたのか気になる所だが深入りしても怖い気がする。とにかく歩くことができてよかった。
大高の東海道側には複数の酒蔵や古く大きな家々があり、また水路もたいへんに多く歩き甲斐のある土地であるが、この住宅群もまたそれらと同等に価値のあるものであると断言できる。