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2009年11月23日

長く辿れる路地を歩く その1

 
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都市の詳細な地図を眺めていると、時おり、ながあぁぁーく流れを追える路地があるのに気づく。
国道や大通りや名前のついた街道なんかが長いのは、わかる。基本的にそういうものだから。
そうじゃなくて普通の街なかの路地が、現在の宅地の区画に逆らうように、ずっとにょろにょろ続いているのって、なんかワクワクしませんか。僕はすっごくワクワクする。
街道未満みたいなものだから、恋人未満みたいなドキドキだろうか。街道(恋人)に昇格しちゃうとそのうちドキドキ感も安定しちゃうんだけどね、みたいな。みたくねえか。
▲一部分だけではあまりワクワクしないけど。




だけど、奴らはしょせん人間ではなく路地だ(わかってます)。基本的には特に何もない場所だ。
それを辿って散策するのは体力的にはたやすい事だけど、辿るからには僕の思う方向には進めないんだワンウェイウォーク。つまり付き合いきれない場合が多いということだ。もっと行くべき場所がある。商店街とか。
そんなふうで、興味は沸いても足が向かない。地図という紙の上だけの興奮だ。ポルノ雑誌みたいなものだ。ああ、最近は紙じゃないから地図サイトとポルノサイトか。それはどうでもいいか。
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▲「はァ?」 猫もあきれる。

つまるところ行動力に欠けているのだ。いけない僕だ。でも心の奥ではいつも感じているはず。「路地歩きはエンターテイメントだ」ということを。そうでなければ東京の商店街を700箇所歩いたりしない。そうだそうだ。たまにはただの路地を愛でに行くべきだ。

などと自分を奮い立たせ、生身の魅力的な路地を体感すべく、とある土曜日に『長く辿れる路地歩き』を2本実行した。以下はそのレポートです。路地が長い分、記事も長いよ!


<1本目> 杉並001号線を往く
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栄えある(あるか?)1本目は、杉並区の妙法寺の門前からスタートする。まず最初なので、事前に地図をご覧いただききたい。
地図を表示(GoogleMap)
▲縁日以外は落ち着いている妙法寺。


妙法寺は我らが東京の誇る、一大厄除けスポットである(僕は埼玉県民だけど)。ややマイナーで鉄道駅から離れてはいるが、そのぶん長閑な空気を醸し出していると思う。
その門前から、一本の路地が南へと伸びている。名前はない。路地だからね。地図で流れを辿ると、西新宿(淀橋)あたりまで行くことができる。そう、あの東京都庁が鎮座する副都心地区・西新宿だ。

僕はこの路地を杉並001号線と勝手に呼ぶことにする。便宜上。
門前を東西に走る路地(杉並002号線と命名)も、似たように長く辿れそうな道だが、あまりに長いので今回は見送ることにする。
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▲ここからスタートですよ。

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能無しの能書きはこれくらいにして、歩行開始。
門前からしばらくはその名も「参道商店街」だ。が、さまざまな食品や飲食の店がある杉並002号線沿いの妙法寺商店街に比べると、こちら001号線側は錆びた感じがする。それでも古い生活用品店などが断続的に並び、昭和のにおいは充分に感じ取れる。
▲こういう商店がまだまだあります。


通行人は視界に必ず2-3人はいて、車は1分間に1-2台くらいは通る。頼りになる生活道路ってところかな。
建物はいかにも「Tokyo!!」って感じのものはほとんどなく、建て替わった住宅を見ないことにすれば「僕は今、旧和田堀町に来ています」といった感覚にトリップできる(和田堀町=このへんが東京の区になる前の自治体名)。

道は善福寺川へ向けてダウン。振り返って見てみると、中中の名坂だ。
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▲にょろ具合がいい坂。

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川の手前にはお堂がある。蛍光灯の設置された、白い壁の現代的建物内に、近隣から集められたと思われる何体もの地蔵等が鎮座している。供物の花もしっかり供えられている。昼間に見てもちょっと怖い。

こういう種の、神様的怖さって、僕にとっては長らく忘れてしまっていた感覚だ。
▲なんていうんだっけこの感じ。


善福寺川は川面も見えぬほど全面改修している。橋を架け替えているのか、車両通行止め。だけど大きな看板で「人道橋があります」の掲示。僕が人間でよかった。人道橋って言葉は好きだ。人の道の橋だもんな。渡ろうよヒューマンロード。
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▲そして僕が渡ります。

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橋を渡るとグッと左に曲がってしばらくうねり、方南町交差点付近に到達する。

ここで道の痕跡は一度消える。これはおそらく、交差点に立体交差を作ったからだろう。続きは地図を見ればだいたい予測できる。もちろん想像だから、責任は持てないけどね。
僕の予測では、京王バスの「峰(峯)」というバス停の脇、方南通りからY字に分かれる路地がそれだ。分かれる路地のほうは下っていくから、なるほど「峰」って感じだふじこちゃーん。
▲感情的で良い。

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▲峰か峯かわからないバス停の脇を下ると中野区に入ります。


坂をくだり、角田橋で神田川を渡る。川はすでに改修されて、細々とした流れだけが見える。
鴨と猫がいた。鳥獣類がいるとなんだか気が休まる。街に動物がいるのを嫌う人もいるが、僕は多少いてもいいと思う。そこら中が動物王国みたいなのは困るけど。
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▲何食べてこの体を維持しているのか。

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▲神田川べりの茂みに、隻眼の野武士みたいな野良猫。草食べてた。

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ここからはちょっと広い道が続く。
多田神社という神社の下にはちょっとした商店が集まっていて、生活感がある。古い道にはたいてい、商店の小さな集まりだとか、酒屋とかよろず屋、交番、郵便局、そういうものが一里塚のように存在する。それを見つけて、散策人はホッとするわけだ。
ただの住宅地ではない君だから、僕は歩いているんだよ!
▲ラーメン500円とかの飲食店が。
▼多田神社入口。もうすぐ冬ですね。
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この四つ角は、地図では一見まっすぐ進むのが道なりに思えるけど、角の欠け具合と道幅から察するに、北へとカーブするのが本来の流れだろう。
今はネットの航空写真でも確認できそうだ。
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▲四つ角だけどカーブに見えるでしょ。

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やがて南台の商店街が始まる。駅はないが最低限度の店を維持した商店街だ。その名前やカラー舗装などから新しいイメージが浮かぶけど、注意深く見れば昔からの商業地だったことがわかる。
駅や役場のない場所に突如商店街があるというのは、多くはその路地に歴史があるという証だと思う。
▲市場形式の建物は見るぶんにはいいですね。
 入りづらいけど・・・

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▲世界が見守っていてくれるゴミ置き場。


東大付属の裏を抜けると、氷川神社の前に出る。この神社の周囲にも寂れた商店街(氷川仲通り商店会)がある。なぜこんなところに・・・という立地だが、これも昔の集落・村の中心地に由来するのだろう。
神社・辻・集落・生活店舗・バス停、そういうものからいろいろ想像するのも路地歩きの興奮ってもんだ、と僕は思っている。
ちなみに10年前に僕のいた学校がこの近くにある(東大付属中高校ではない)。
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▲僕が学生の頃から、このコンビニだけ賑わっている。
 僕もたまにレンジメニューを買いに来ました。

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さらに細い路地を進む。このへんはほんとに昔のままの道幅なんじゃないかと思う。一般住宅・アパートがぎっしり並ぶ。そのうちにやや下って、渋谷本町商店街となる。
西新宿に近づいてるのに、渋谷? と思う人もいるだろう。このあたりは新宿区・中野区・渋谷区の境界となる地域で、渋谷区本町はかなり北にせり出しているのだ。

杉並001号線と方南通りがナナメに交差する部分には、押しボタン信号が取り付けられている。これも古くから続いた道ならではだと思う。
▲狭いです。一応商店街です。

渋谷本町商店街のこの店は、僕が学生の頃は同じ名前のパン店だった。今はダンススタジオか何かになってしまったようで残念だ。
余談だが、昔働いていた笹塚の会社の近くの路地にあったパン店も、このあいだ見たらなくなっていた。東京でこれだけ人口があっても、なかなか経営は厳しいのかな。
お世話になったのでここで自販機のお茶を買って休憩。
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▲あのチーズフランスをもう一度。

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まあでも日陰で休む必要はなかったね。うん。冷える。

僕は路地歩き中は、夏場以外あまり水分を取らない。商業地と違って、トイレに困るからね・・・。

ちなみに渋谷本町商店街の多くの店は、すでに営業をやめてしまっている。
▲路地歩き中はけっこう無表情です。


山手通りを渡ると、くねくねとした路地に。新宿に近い市街地だが、計画性のかけらもない。
江戸より外の東京というのは、道についてはほんとに昔のままだ。よく言えば昔を偲ぶことができる。悪く言うと無計画に家が建ちすぎ。
僕は埼玉県民なのでどっちでもいいけど!

やがて杉並001号のハイライト。新宿区西新宿5丁目、かつて淀橋と呼ばれた地域になる。あのヨドバシカメラの淀橋だ。再開発やらなにやらで、もう地名としては消えてしまった「淀橋」。その昔は淀橋区があったくらいなのに。
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▲セクシーくねくね路地。

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再開発のおかげで、この道もこの西新宿で痕跡が消えてしまう。××××再開発!!
でもビルってかっこいいよね。ビルの中にも路地を作れば完璧だ! 路地だけ残してまたぐようにビル建てりゃいいと思うんだけどなあ。どうですか森さん。
▲森さんもそう言われても困る。


杉並001号線が神田川笹塚支流(和泉川)を渡る柳橋には、昭和7年築の欄干が残る。現在は全面的に暗渠になり、ここをぐねぐねと辿る散策も楽しいと思う。他の橋の遺構もまだ残っているはず。

ちなみに山手通りの「清水橋」という交差点名も、神田川笹塚支流にかかった小さな橋からつけられている。学生の頃(2000年くらい)まではあったんだけどな、清水橋の欄干。
写真くらい撮っておくべきだったけど、当時はあまり気に留めなかった。今ほど路地や水路を可愛がってなかったのだ。
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▲柳橋の欄干。よく残してくれたなあ。

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▲ここにも小さな商店が並んでます。もう副都心は目の前なのに。

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新築マンションを覗いたら、なんか観音様みたいなのに覗き返された。怖い。
しかし新築しているということは、ここはもう再開発は諦めたか? 我々の勝利なのか?(マンションは買えない負け組ですが。)
▲こんにちは。


十二社通りを渡ってしばらくすると、現在進行形の再開発地に入り、杉並001号線は終わる。おそらく十二社通りから先は遅かれ早かれ再開発で消失するだろう。
だから路地跨いでビル建てろって! 路地の流れそのままでビルを突き抜けてたらすごくカッコいいから。
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▲変な終わりだけど、この先までです。


という感じで、1本目の杉並001号線の歩行は終了。部分的には何度も歩いたことがあるのだが、相変わらず、歴史を感じる集落と現代の生活臭さを体感できるいい路地だと思う。昔惚れた女性は今も魅力的でした、という感じ。
杉並・中野・渋谷・新宿の4区をまたぎ、全長は5キロ弱。ゆっくり散策しても1時間半くらいだろう。ちなみに杉並002号線はもう少し北の「けやき橋通り商店街」を終点とする(と僕が勝手に決めている)。こちらもいずれ通して歩きたい。

ただでさえ路地歩きは楽しいものだが、さらに長く辿れる路地だと、ちょっとした旅の気分になれるということがわかった。本当だよ! 
新しい家があるようなところは元々みんな林や野原だと思えば、いくつもの集落を過ぎて大きな町へと向かう、あるいは大きな町から田舎へと帰る、そんな気分になれるんだから。ほんとほんと。

今日は2本歩きたいので、日が暮れないうちに次へ行こう。
もしよろしければ、もう1本のほうもどうぞ。

●2本目の記事へ●


@nifty デイリーポータルZにてご紹介いただきました
デイリー道場からご覧いただいた皆さん・編集部の皆さん、ありがとうございました。
タグ:路地 東京都
posted by しかすけ at 00:10 | Comment(2) | TrackBack(0) | 路地散策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
しかすけさん、こんにちは(・∀・)ノシ

niftyのDPZから、リンクたどって遊びに来ましたよー。

私にとって懐かしい道だったので、かなりびっくりしました。
このあたりは、数年前に仕事で通っていたので、
わりとよく知っています。今は担当が変わってしまったため
行く機会がなくなってしまいました。

そのせいか、昔からの友人に偶然会ったような感じで、
なんだかすごく嬉しいです(・∀・)♪

しかすけさんのご尊顔も発見♪
Posted by さおり at 2009年11月29日 00:07
>さおりさん
わー。ありがとうございます。というか、
滅多にないことなので宣伝しちゃってすいません(笑)。
数ある東京の路地の中で偶然知ってる所を取り上げた、
とは思いもよりませんでした!

そういえばブログ記事ではあまり顔を出してませんでしたね。
1カットくらい顔出てるほうが親近感出ますかね・・・?
見なきゃよかった、と思われてないことを願います(笑)。
Posted by しかすけ at 2009年11月29日 21:21
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